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ロシア人に人気の苗場スキー場

昨年、出張のためホテルに宿泊することが日本でもロシアでも何度かあった。日本ではビジネスホテルという出張者向けに適当なところがあるのだが、ロシアでそのような宿泊施設を探すのは難しい。同じような程度と設備を望もうとすると、日本の相場の2倍から数倍以上の支出は覚悟せねばならない。

今、ロシアはソ連崩壊後かつてない好景気に沸いていると伝えられている。最近、2007年中の物価上昇率が11.9%と発表されるなど、社会全体でインフレ傾向が強まっている。 ホテル産業にもその影響が出てきているということだろうか。

宿泊料金が高くなっているということは、観光産業にも影響を及ぼしている。公的資料によると、2007年に観光目的でロシアに入国した外国人は、2006年の指標より4%ほど少なくなっている。

逆に観光目的で出国したロシア人は、2007年より20%増となるなど、外国旅行する人が増えてきている。富裕層及び中流層の増加や国内のインフレにより、外国旅行が相対的に割安になっているからだ。

確かに日本へ観光に来るロシア人も増えてきている。それを如実に物語っているのは、苗場など各地のスキー場でロシア人観光客が大幅に増加していることだ。苗場プリンスホテルでは、5年前には年間60人だったロシア人宿泊者が、2006年には1600人にまで増えたという報道もあった。この年末年始、ロシア便のある日の新潟空港はロシア人スキー客で混雑していた。

ロシアには設備や観光施設が十分に整ったスキー場はまだまだ少ないことや、リフト利用料などを含めた宿泊料金が、今のロシア人にとっては割安と感じられることなどが、人気の理由として挙げられる。

この傾向は、地元経済に少なからず寄与しているはず。一過性のブームで終わらせないためには、ロシア人のライフスタイルをできるだけ考慮した設備・制度面の更なる充実など、受け入れる側も色々な施策を図らなければいけないかもしれない。

 

2008/01/21 JSN 黒須 将道

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2008年1月21日掲載の記事を転載したものです。

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