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ウラジオ短信

日本商品の定番化への道のり

このところ海外における日本食が話題となっているが、ロシアではもう何年も前から日本食ブームが続いている。先日、あるテレビ番組で、世界でもっとも日本食レストランが多いのはモスクワだと紹介されていた。確かにモスクワのごくありふれたカフェでも巻き寿しなどの日本食がメニューにあったのを覚えている。ためしに注文してみると、なかなか悪くない味だった。日本人には風変わりな料理もあるが、ロシアでは日本食の一部のメニューが一般的になりつつあるように思う。

実は昨年から県産コシヒカリをロシア・ウラジオストクに輸出する業務に携わっている。ごくわずかな量だが、弊社が輸出する食品コンテナに混載し、現地のスーパーや日本料理店に卸売りしている。

ところが昨年12月、ロシアがコメの輸入を一時停止する措置を発動した。輸入禁止自体は時限措置ではあったが、その後、コメの通関を許可する国境通過地点は3ヶ所に限られ、その中には極東地域の港は含まれていなかった。パートナー企業の通関担当者とも相談した結果、コメの輸出については、しばらく様子を見るつもりである。輸入停止・制限の直接的な理由は、輸入米の残留農薬や遺伝子組み換えなどの安全性問題となっているが、国内生産者保護が背景にあるとも指摘されている。確かなことは、安全性が高いとされる日本のコメであっても、輸入許可を取得し、通関するのが難しくなったことである。

日本の食品の味、質、安全性はロシアでも高く評価され、“値段が高くても売れる”という人もいる。だからといって、ただ持っていくだけで売れるわけではない。特にウラジオストクの消費者は目移りが激しく、日本の食品を“定番商品”にしていくには、それなりの工夫と努力が不可欠である。コメの場合、ロシア人にとって主食ではないため、日本人とはコメの調理方法や食べ方、考え方が異なる。こうした食文化や習慣の違いを前提に置きつつ、日本食を紹介する地道な作業が、まず必要ではないかと考えている。

 

2007/01/22 JSN 濱野 剛

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2007年1月23日掲載の記事を転載したものです。

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