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ロシア南部でテロ、極東でも治安対策が強化

9月1日に新年度を迎えるロシアでは、子供たちが花を持ち寄る慣例がある。母親に手を引かれた新入生が、自分の背丈ほどもある大きな花束を抱えて歩く姿は、何ともほほえましい。清少納言であれば、「いとおかし」と表現するだろうか。しかし、北オセチア共和国ベスランで学校を占拠したテロリストは、この子供たちの体に爆弾をくくりつけ、銃を乱射した。

事件後、遠く離れた極東の地にあっても、追悼集会が開かれ、多くの市民が参加した。しかしその一方で、テロに対する不安が高まり、治安維持機関による警戒が全国的に強化された。極東地域ではこれまで、チェチェンの武装勢力などによるテロが起きてないせいか、比較的平穏で、市民生活に今のところ大きな変化は見られない。それでも、ウラジオストクでは街の至るところに警察官が配置され、頻繁に職務質問が行われるほか、航空券だけでなく、市外へ向かう列車や長距離バスのチケット購入に際しても身分証明書の提示が義務付けられるようになった。

ある世論調査によると、テロを防ぐ措置として、「出入国管理の強化」「警察による治安維持活動の強化」が必要と答えた市民が80%を超えた。このほか、「マスコミの管理強化」に賛同した市民は実に65%に及んだ。プーチン政権による情報統制のせいで事件の真実が明らかにされていないと批判する向きもあるが、この世論調査が公正に行われたとすれば、意外な結果である。

一連のテロ事件では、犯行グループの身元に関する情報や動機、背後関係などついては、今なお不明な点が多い。プーチン大統領は「テロとの戦い」を再び宣言したが、その声明の中では犯行グループを特定できず、戦いの対象を明らかにすることができなかった。とはいえ、テロとの戦いの本義は、テロリストを殲滅することではなく、テロが起きない世界を作る戦いのはずである。その意味において、彼らがなぜ今回のような残虐非道な行為をやってのけるに至ったのか、今こそ深く考えねばならないと思う。

2004/09/20 JSN 浜野 剛

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2004年09月掲載の記事を転載したものです。

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