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ウラジオ短信

ニコラエフ・ウラジオ新市長誕生

先月、ウラジオの新しい市長に若干30歳のウラジミル・ニコラエフ氏が選挙で選ばれた。
同氏は、市長就任前まで沿海地方議会議員で、統一ロシア党の政治評議会委員も努めた。企業家としても早くから成功を収め、ウラジオで水産会社、食肉工場、木材伐採会社など、いくつかの企業を経営している。

市長就任後、ニコラエフ新市長は抱負を次のように語った。「ウラジオの焦眉の問題は、冬季暖房期間に向けた燃料の備蓄や供給施設の整備と9月1日から始まる公立学校の新学期に向けた準備である。選挙運動の際に市民からの要望であり、実行に全力を尽くすつもりだ」。

実はこの当たり前過ぎる抱負が、市民からの支持を得た理由の一つである。
私たちからすると、ライフライン整備は行政の当然のサービスと考えるが、ウラジオはロシアの中でもこの当然のことが10年以上に渡って行なわれてこなかった。ニコラエフ氏は、その住民の心理をうまくとらえ、テレビでアピールをした。

選挙の半年近く前から、地元のテレビ局が頻繁に流したCMである。このテレビCMでは、整備の悪いでこぼこ道を走る車が映し出され、最後に「そろそろ市長を交代させるときだ」との字幕とナレーションが流れる。また、もう1本のCMでは、風呂場で体を洗っている男性が、泡を洗い流そうとしてシャワーの蛇口をひねっても水が出ず困っている情景を映し出し、上記のナレーションが流れる。

私もウラジオで生活をしており、このCMの意味深さに痛く感動をしていた。そして、彼が当選後、私の借りているアパートにもめでたくお湯が出始めたのである。

2004/08/21 JSN 田代雅章

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2004年08月掲載の記事を転載したものです。

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