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ウラジオ短信

アルビ・ユースのロシア極東遠征

8月19日から5日間、サッカーのアルビレックス新潟ユースのハバロフスク遠征に同行、引率した。同ユースチームが、海外への遠征先として、韓国や中国ではなくロシアを選んだのは、わずか2時間足らずのフライトで、体格もプレースタイルも異なるチームと対戦でき、より厳しい環境を経験できるからである。

宿舎は企業が所有する合宿所。設備の面では恵まれた環境とは言い難く、食事は全てスタローバヤ(食堂)であった。遠征の目的が、「どんな環境にも適応できる強い選手を育てること」であるとはいえ、引率する側としては、15〜18歳の高校生がこういった環境に適応できるのだろうかと不安であった。

ところが選手たちは、食事は残さず平らげ、トイレやシャワーといった水周りの設備に対しも、文句どころか愚痴さえこぼさなかった。確かに口に合わない食事もあったが、試合でのパフォーマンスを最優先に考え、無理をしてでも食事を口に運ぶ姿は印象的であった。

年代が上のチームとの対戦が多く、結果的には1勝しかできなかったが、内容的には互角の勝負ができていた。選手たちの口からは、「日本よりもあたりが激しく、プレスがきつい」、「ピッチがでこぼこなのでいつものように短いパスをつなげない。中長距離のパス・トラップの精度を上げないといけない」など、今後の競技力向上につながる課題も浮き彫りになった。

一方、対戦したロシアの選手たちは、「(アルビの選手たちは)体は小さいけど、技術が高く、組織的なプレーをするので驚いた」と口々に話していた。同じようにプロを目指すロシアの若い選手たちにとっても貴重な経験となったはずである。

ともあれ、選手たちは、異国でのプレーを経験できただけでなく、サッカーをする上での厳しい環境にも、日本との違いを認識することができたと思う。ただ、こうした経験ができるのは、サッカーだけではないはず。対岸交流の重要性を改めて認識させられた。

2002/09/13 JSN M野 剛

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2002年09月掲載の記事を転載したものです。

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