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ウラジオ短信

大幅に遅れている暖房供給

寒い冬を控え、沿海地方では今年もまた、エネルギー危機と越冬問題が避けられている。

本来なら10月15日に始まるはずだった暖房供給は、慢性的な燃料不足のせいで、大幅に遅れている。 幸い、最近のウラジオストクは天気がよく、暖房なしでも結構やっていける。しかし、さすがに日が落ちるとストーブをつけたり、厚着をしたりしなければならない。気温は3度まで下がることもある。

給湯状況にも地域差がある。かなり前からお湯がある地域もあれば、ついこの間までお湯が出なかった地域もある。

このような状況で、政治方面では、沿海地方知事の退陣もささやかれ始めた。しかし住民はというと、いろいろ聞いてみたが、まだ、あからさまな不満は現れていない。

個人的経験から察するに、この理由は、「まだ、大規模停電がないこと」であろう。人間にとって、寒さよりも暗さのほうが答えることを、私はウラジオの停電で身をもって知った。暗闇に何時間もなすすべもなく座っているのは、精神衛生上、まことによろしくない。

一方、電気さえあれば、電熱器も使えるし、炊事もできる。「早く暖房が入らないかな」と待つ余裕もあるというものだ。

最近は、電力会社も行政もなかなか停電させない。ということは、人間の心理を学んだのだろうか。

しかし安心してはいられない。ウラジオ以外の地域では、ぼつぼつと停電が始まっているようだ。

2000/11/05 JSN 釈囲美法

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」2000年11月掲載の記事を転載したものです。

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