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ウラジオ短信

中国人流入増加に驚異の目

前回、今年だけで5万人の中国人旅行者がウラジオを訪問したことを伝えた。この急激な中国人の増加を、ロシア側(沿海地方)は脅威を持って見ているようである。

1992年12月からロ中では観光目的であれば「ビザ無し」で往来ができる。これを利用して中国の消費物資がロシアに大量に入り、市民生活は助けられた。また、沿海地方やハバロフスク地方の農場や建設現場では、中国人労働者の受入れも積極的に行なっている。両国は国境を接して互いに補完しあう関係であったはずである。

ところが最近、沿海地方議会で中国人をめぐる問題が話し合われた。その内容は、安い中国の農産物がウラジオにも大量に入り、ロシア側の農業が被害を被っている。沿海地方への中国農産物の輸入禁止をすべき、というもの。

また、議会の話しは中国人のロシアへの流入問題へと発展したようである。中でも靴の修理はロシアでもハンディーを持っている人が従事している場合が多い。中国人がその仕事を奪ったために職を失ったと、障害者協会からも靴修理の禁止の要請が出ていると聞く。

しかし、なぜロシア側は中国人に対してこのように神経質になるのか。ある説によると「豊になった中国人への嫉妬」だと言う人もいる。スタッフのアンドレイも、カメラ片手に観光でウラジオに来ている中国人の姿を見ると、韓国人なのか台湾人なのか、それとも日本人かわからないと羨望のまなざしで見ている。

1999/10/11 JSN 田代雅章

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1999年10月掲載の記事を転載したものです。

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