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軍事機密漏洩裁判大詰め

軍事機密漏えいの国家反逆罪に問われた太平洋艦隊機関紙の元記者グリゴリー・パシコ被告(37)の裁判が大詰めを迎えている。

この事件は、パシコ記者が軍事機密を日本のマスコミに売ったというのが容疑である。当事者の日本のマスコミがパシコ支援をしなかったために、一時はウラジオストクでも日本人(ジャーナリスト)に対する風当たりが強かった時期がある。

最近のウラジオの市民の事件に対する反応を紹介すると、モスクワのテレビ局の極東支局のジャーナリストは、「非公開裁判が1年半も続いており、1人の人間を説明もなく1年半以上拘束してはならない。ロシアで生まれつつある民主主義に悪い影響を与える」と厳しい口調で語った。

また、市民は「彼の流した情報が軍事情報なのか環境問題なのか知りません。 もし、彼がロシアが無視した環境問題なら彼のやったことは正しい、しかし、軍事機密情報なら別です」と、冷静な見方をしている。

日本のマスコミが関与していることについて前出のジャーナリストは、「日本人の証人が出廷すれば(裁判が公平に行なわれれば)パシコに有利であろう」と話す。また、ある市民は、「ただの記者同士の取引関係だったのでは」と見る向きもある。

最新の情報によると7月16日に法廷弁論が終了したようである。これも最小人数のマスコミしか入れていないので詳細は不明。また、近日中に判決が言い渡されるが、今のところ公開で行なわれる予定である。

1999/07/19 JSN 田代雅章

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1999年07月掲載の記事を転載したものです。

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