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ウラジオ短信

大統領選結果以上の死活問題

ウラジオストクに2週間滞在した。市民の今の話題は、6月16日に行われる大統領選挙のことである。ところが、選挙の結果を心配しているのではなく、選挙が近づいてどのような「キャンペーン」を政府が打ち出すのかに興味が集中している。

例えば、船員は無税になっている日本車の購入についても、今年の1月から「偽装船員」の車の持ち込みについては、関税をとるという政令が施行されている。極東の市民には死活問題である。

また、国営企業などで働く人々の未払い給料が、選挙前にきちんと支払えるのか。選挙後、どうなるのかなど話題が絶えない。

ところが、ウラジオ市民も慣れたもので「大統領選挙が終われば、また日本車が買えるさ」と、まったく意に介していない。

その選挙結果を一番心配しているのが、外国企業の駐在員らである。政党の議席数より大統領に権力が集中しているからである。

今、ロシア国民の人気はジュガーノフ候補(共産党)、ヤブリンスキー候補(ヤブロコ)、エリツィン現大統領の順番。過半数を取らねば2人の決戦投票となる。予想としては、ジュガーノフとエリツィンが決戦に残れば現職のエリツィンが有利ということだ。もし残らなければジュガーノフに有利という前評判である。

再選のためエリツィン大統領は、大企業擁護の政策を次々に打ち出していくことが考えられ、また、選挙の結果を操作することも考えられるといわれている。

1996/02/18 JSN 田代 雅章

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1996年02月掲載の記事を転載したものです。

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