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モスクワ便り


-JSNロシア現地奮闘記-

【Volume.5】モスクワの「秋葉原」で見たロシアのアニメ市場

ロシアの「秋葉原」と言えるかどうかは分からないが、モスクワにも有名な電器街がある。地下鉄Bagrationovskaya駅にある「ゴルブーシュカ」と呼ばれる一帯である。90年代は「灰色通関」で持ち込まれた家電などが売られる青空市場であったが、いまや世界的な家電メーカーが展示サロンを設けるほどの電器街となった。家電などともに、DVDやゲームなどソフトの品ぞろえも豊富で、週末ともなれば、多くの客でにぎわう。ここでは、ロシアではまだ珍しい日本アニメのDVDやグッズも買える。関係者にロシアにおけるアニメ市場の話を聞いてみた。

「ロシアのアニメ市場は、欧米と比べると、発展途上の段階にある。アニメを見るのは、日本に対して特別興味があるとか、いわゆる“オタク”であるとか、ちょっと変わった人が多い。一般の人が見るようになるにはまだ時間がかかる。マンガについては、ロシア人にはコミックを読む習慣がないので、アニメと同じく、売れるのはまだ先の話。ただ、欧米の例を見ると、アニメが徐々に浸透していけば、マンガの需要も必ず出てくるので、そう遠くない将来に変化が起きるはずだ」
陳列されているDVDを見ると、ドラゴンボールやポケモンなど欧米で人気のアニメは少なく、どちらかというと日本でもなかなかお目にかかれないレアな作品が多い。理由を尋ねると、答えは簡単で、「ドラゴンボールなど、テレビシリーズは長すぎるの、ロシア人は見ない。2時間以内に完結する劇場版やOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)の方が良く売れる」そうだ。

実際にDVDやPCソフト関連の売り場を見て回ると、外国人だろうがお構いなしに声をかけてくる。金融危機以降は、客足も減り、売り上げも大きく落ちたとのことで、販売員も必死だ。ここの販売員の給料は、通常、歩合制なので、まるで機械のように行き交う人を呼びとめる。景気の良い頃は、若くてきれいな女性をマネキンとして雇う店もあったが、それも少なくなってしまったらしい。残念な話である。

いずれにしても、アニメやマンガをきっかけに日本に関心を持ってもらうことは悪いことではないはず。日本食ブームのようにはならないだろうが、ロシアでもアニメ、マンガ市場が広がることを期待したい。

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