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モスクワ便り


-JSNロシア現地奮闘記-

【Volume.1】モスクワとウラジオは別の国?

弊社の活動範囲を極東のみでなくロシア全国規模に伸ばすという方針のもと、1月からモスクワに長期出張している。今までモスクワには短期の出張でしか来たことが無かったため、じっくりと物事を見る余裕が無かったが、ある程度長く滞在することで色々なことに気付く。今までの活動拠点がウラジオストクだったため、両者を比較して見える事柄が多い。

小売のレベルで見ると、ウラジオストクでは日用雑貨から食品まであらゆる日本製品が売られており、金融危機による輸入品値上がりにもかかわらず市場で確固たるシェアを占めている。日本だけでなく東アジア各国から輸入される商品も強い。

モスクワでは、日本製品の存在感が目に見えて薄い。あることはあるが、極東で売られている価格より数割高くなっており、完全な高級品としての取扱で購買層はごく限られる。食品に関して言うと、賞味期限も問題となる。メーカーが設定する品質保持期間が半年程度の商品だと、モスクワの店頭に並ぶ頃には賞味期限まで1ヶ月余りしか残らないという事例もある。商品を取扱う側から見れば、それだけリスクが高い商品となってしまうので、ますます取扱が狭まり、「高級」というレッテルを貼られてしまう。一方、ドイツ、ポーランドなど近隣のヨーロッパ諸国からの輸入品の市場占有率は目立つ。地理的な近隣さから、極東ではアジアに、モスクワではヨーロッパにより多くの目、商業的興味が向けられることは仕方が無いところだ。

商売の基本である「接客」をとってみても、ウラジオストクとモスクワの違いを感じる。ウラジオストクでは、商店の売子やタクシーの運転手などと接する時、私はいつもある種の度胸を持つ。日本に比べ接客対応が横暴で、釣銭をごまかされたり、価格をまけてもらおうとしたり、まさにこちらも商人のようなつもりで接しなければならない場合があるからだ。

モスクワでは、日本ほどではないが、少なくとも自分自身を「お客」と感じることが多い。時には愛想が非常に良く親切な接客をされる場合が多く、拍子抜けしてしまうほどだ。これは、様々な業種でフランチャイジングやチェーンが発達し、マニュアルにより教育された従業員がいることに理由があると思う。日本ではマニュアル化された接客に少々うんざりしていたが、モスクワでは教科書的な挨拶や言い回しで接客される度、何故か心地よくなってしまう。

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