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「ロシアの友」、仏トタルCEOがモスクワで航空機事故により死去

  10月20日夜、モスクワ・ブヌコボ空港からパリに向かう予定だったビジネスジェット機が離陸滑走中、滑走路内に侵入した除雪車と衝突、炎上し、搭乗していた仏石油大手トタルのクリストフ・ドマルジェリ会長兼CEOを含む乗客乗員4人全員が死亡した。各紙の報道をまとめた。
 ドマルジェリCEOは対ロシア経済制裁に反対する立場を公に表明していた数少ない欧州実業家の一人で、欧米の金融制裁発動に際してはミレル・ガスプロム社長の制裁リスト入りを回避するよう首脳を説いて回ったとも伝えられている(10月22日付ベドモスチ紙)。また、9月にはパリでビジネスフォーラムを主催して制裁対象のナルィシキン下院議長を招待するなど、対ロ関係の改善に努めていた。同氏は20日もメドベージェフ首相が議長を務める外国投資評議会に出席し、政治的判断による情勢の改善を要望した帰りだった。(中略)
 トタルは2004年、ロシアの民間ガス大手ノバテックの25%株式の取得を試みたことがあるが、連邦反独占庁の許可が下りないまま物別れに終わっていた。交渉はドマルジェリ氏のCEO就任後に再開され、2011年、トタルはノバテックの14%株式を48億jで、ヤマルLNGプロジェクトの20%の権益を4億2500万jで取得する権利を獲得した。なお、同権益は18.2%まで取得が完了したところでEUの経済制裁が発動し、現在プロセスが中断している。
 トタルはまた2007年、ガスプロムからバレンツ海シュトックマン・ガス田の開発に関する権益を取得したが、米国のシェールガス革命による販売市場の見通しの悪さから、プロジェクトは現在凍結されている。
 ドマルジェリ氏は、ノバテックのチムチェンコ氏やルクオイルのアレクペロフ氏など、ロシアの資源大手の経営者らと良好な関係を築いており、チムチェンコ氏は「我々は皆、クリストフに個人的なシンパシーを抱いていた。彼の死去はロシアにとって大きな損失だ」と述べた。また、プーチン大統領はフランスのオランド大統領への弔電で哀悼の意を表明。実業界の代表者らだけでなく、支援を受けていたマリインスキー劇場のゲルギエフ芸術総監督など多くの著名人が弔辞を寄せた。(後略)(10/24)
? (週刊「ボストーク通信1066号より)


 



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