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小売大手マグニトが国内最大級の温室を建設:トマトやキュウリを栽培

 ロシアで第2位の規模の小売チェーン「マグニト」が、クラスノダル地方(南連邦管区)に120haの温室を建設し、国産野菜の安定的な確保を目指す。同社のガリツキー代表取締役の発言を8月20日付でクラスノダル地方政府プレスリリースが伝えた。
  ガリツキー氏はトカチェフ・クラスノダル地方知事との会談で、昨年立ち上げて現在40haとなっている温室栽培事業には、合計で3億5000万ユーロを投資し、面積を2015年には120haに広げ、欧州最大級の野菜生産複合施設にすると述べた。
  マグニト社はクラスノダル地方に本社を置いており、他にも年内に同地方でジュース工場と半製品の冷凍工場の建設に着工する予定。建設元請の「インベストストロイ」はガリツキー氏が所有する会社で、他にも同地方にサッカークラブ「クラスノダル」(同じくガリツキー氏が所有)用のサッカー場や3万人が入居できるニュータウンを建設する意向とされている(3月12日付青果情報サイトPomidorus.ru)。
  上述の温室複合施設「緑のライン」では、主にトマトとキュウリが栽培されており、昨年はトマトを800d、キュウリを200d収穫した。120haでフル生産になれば、収穫量はトマトが3万7000d、キュウリが3万dとなり、自社の消費量の6割をまかなうことが可能になる。
  連邦統計局によれば、ロシアでは昨年、トマトは220万d、キュウリは120万d生産されたが、そのうちそれぞれ176万dと112万dは小規模な個人農による栽培。マグニトのような大手の小売チェーンでは、個人農からの仕入では安定供給に問題があるため、自社栽培の施設が必要とされている。
  他方、エネルギー料金の高いロシアでは、国産の温室野菜は輸入品との競争で価格では苦戦を強いられ、通常は15〜20%高くなるという。ロシアの野菜の主な輸入先はトルコ(今年第1四半期の輸入量は10万8900d)、中国(同8万2800d)、イスラエル(同7万200d)など。輸入に際しても、マグニトやX5 Retail Group、ディクシーといった大手は、2009年以降は野菜に関しては中間業者を排した直接取引に移行し、安定供給の体制を構築している(8月21日付Expert Online)。(後略)

(週刊「ボストーク通信959号より)




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