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石油がつきた?−ロシアの原油生産が減少する初めての年(要旨)

フィナンソビエ・イズベスチヤ紙 2008/4/18

 「石油を増産することはもはや不可能だ。ただもう、今よりも多く採掘するための油田がないのだ」−石油業界の関係者はこう警鐘を発する。確かに、産業エネルギー省によると、今年1月〜3月の生産量は前年比0.02%の伸びにとどまっている。果たしてこれは、政府の保護を期待する石油業界によるロビー活動なのか、もしくは、わが国の資源が本当に枯渇してしまったからなのか?

 ロシアの石油生産の増加率は、2004年の11%をピークに、その後漸減し、2007年は2.1%であった。フリステンコ産業エネルギー相も石油生産が停滞期に入ったことを認めている。

 民間最大手ルクオイルのフェドゥン社長は英紙のインタビューで、ロシアの現状を北海、メキシコになぞらえ、石油生産が急速に落ち込む恐れがあることを示唆している。

 これに対し、石油業界のアナリストは異議を唱える。「フェドゥン社長は誇張しすぎだ」−投資顧問会社のミルチャコワ氏はこう語る−「ロシアの石油生産のピークは10年間持続させることが可能である。もちろん、政府の正しい政策があってのことだが」。

 政府も支援を約束している。鉱物資源採掘税を2009年から見直す用意があることを表明。実現すれば、石油業界にとって1000億ルーブル(約4500億円)規模の減税となる。しかし、石油業界は「少なすぎる」と反発し、油田の資金開発を積極的に行うには1兆ドルが必要と主張している。専門家の試算では、この減税による石油会社の収益率改善は1〜2%程度にとどまる見込みだ。次の段階では、より目に見えた形での優遇措置があるはずだが、これについて、財務省は今のところ沈黙を保っている。
 

 石油業界は、ずいぶん前から、「減産」の可能性を示唆することで政府や国民を不安がらせてきたが、今まで、この不安は「お化け」のような目には見えない存在であった。しかしここへ来て、欧州系銀行のアナリストからは、ロシアの石油会社がまもなく、悪化した財務報告を出すのではとの声が聞かれる。「落胆すべき数字を見て初めて、ロシア政府は事態を収拾するため、具体的な措置に取り掛かるのだろう」と指摘する。

 にもかかわらず、ロシアの石油会社の株は、世界の同業者と比べれば、過小評価されているようだ。欧州のある主要銀行は最近、ロシアのほとんどの石油会社の評価を2〜7%引き上げた。投資家にロシアの石油株を買うよう勧める欧州の銀行もある。

 石油はこのまま減産となるのか、そうはならないのか、予測は難しい。石油会社とアナリストでは評価が分かれる。確かに増加のテンポは衰えたが、今後数年間は現行水準で推移する可能性もある。

 石油業界は、過去数年間、“万が一のへそくり”である安定化基金の設立に貢献した。加えて、石油価格の高騰は、仮に少しばかり減産されたとしても、ロシアの財政を潤わせることになるだろう。いずれにせよ、石油業界は、石油加工設備を近代化し、高付加価値の製品を作る環境を整える時期が来たといえる−西側に資源を送るかわりに。

 



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