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世界金融危機が沿海地方に波及

2008/10/27 週刊『ダーリニ・ボストーク通信』 772号

  世界金融危機の影響が沿海地方にも現れ始めた。金融機関には行列ができ、銀行のATMからの預金引き出しが困難になっている。何が人々の不安を煽り、このようなパニック状態をつくり出しているのであろうか?

◇預金引き出しに走る一般市民
  ロシア連邦中央銀行沿海地方主局は、沿海地方の金融システムは揺るぎないと主張している。しかし、それとは裏腹に一般市民は混乱している。彼らが最も不安を抱いているのが、地元の銀行の現状がどのようになっているのかということである。特に、会社からの給料だけで生活している人々は急いで預金を引き出し、自宅に保管しようと慌てている。

◇脆弱な地方銀行と窮地の小規模事業主
  沿海地方の一部のエコノミストは、多くの銀行が人々の預金引き出しの波に対応できるほど資金の余裕がないと指摘している。市況・予測国際研究所の所長であるアレクサンドル・ラトキン教授は、「沿海地方は貧しい地域であり、それが沿海地方の銀行業界の発展に影響していると指摘している。さらに同教授は、「政府が援助しているのはモスクワの中心にある銀行だけです。沿海地方の銀行は困難な状況にあります。そのため、実業家に対する融資の利子を15%から26%に引き上げました」と述べている。

  沿海地方には自己資金で活動する小規模事業主はいない。みな金融機関から融資を受けている。漁業関係の事業主にとって、この問題はとりわけ深刻だ。まもなくスケソウダラの盛漁期が始まり、海に出て行かなければならない。燃料購入のために融資を受ける必要があるのだが、それが叶わなかった場合、経営の危機に直面する。また、不動産関係者も困難な状況にある。沿海地方では抵当融資が全く受けられなくなってしまったため、融資を受けている建設会社は大きな不安を抱えている。しかも、沿海地方の不動産市場は飽和状態にあるのだ。
(週刊『ダーリニ・ボストーク通信』772号より抜粋)




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