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ユーロ・セメントがセメント価格高騰で強気の投資計画
年平均300億ルーブルの投資を見込む(要旨)

ベードモスチ紙 2007/9/4

 セメント価格の高騰の追い風を受け、ロシア最大のセメント・メーカー“ユーロ・セメント”が新工場の建設に着手した。9月3日、デンマークの“FL Smidth”社との間で、総額150億ルーブルの工場用設備の購入契約を結んだ。  

 新工場は、セメント原料の一大産地であるボロネジ州に建設される。生産能力は年間240万トンで、プロジェクトの投資回収期間は10〜12年と試算されている。デンマーク製の設備を導入するため、ロシアのセメント工場としては高くつく投資である。中国製の設備(Sinoma社)を導入すれば2分の1以下の投資ですむのに、競争入札でデンマーク製が選ばれたのには理由がある。セメント価格の高騰により十分に採算が取れるからだ。ボロネジ州の新工場は地理的条件も良く、周辺のインフラを整備する必要もない。地域によっては1トン7000ルーブルの値を付けており、この高値が続けば、投資回収にかかる期間はさらに短縮されるという。  

 ユーロ・セメントは昨年、連邦反独占局から、独占禁止法違反で19億ルーブルもの罰金を科されそうになったが、同局と和解協定を結ぶことで、罰金が2億6700万ルーブルに減額された。しかしその際、セメント価格を安定させ、建設ラッシュによる供給不足に対応できるよう生産能力を拡大することが和解の条件とされた。具体的には、100億ルーブルを超える資金を投じて、ユーロ・セメントが傘下に収める企業の生産設備を近代化することを約束させられたのである。  

 ユーロ・セメントの広報担当は「今年中にさらに4件の工場建設に関する契約を結ぶ予定である。その額は600億ルーブルを超える。2011年までに新たな製造設備に年平均300億ルーブル以上の資金を投じる計画だ。年2ヶ所の工場を新設する計算になる。その結果、2015年までに当社全体で、既存の3500万トンに加えて、2100万トンの生産能力が拡充される」  

 こうした強気の計画は、セメント価格が1年で2倍になるようなことでもなければ、ありえなかっただろう。モスクワ証券取引所によると、昨年8月のセメントの平均価格は2413ルーブルだったのに対し、今年8月は4233ルーブルに上昇した。調査会社によれば、価格高騰により「ユーロ・セメントはどんなに控えめに見積もっても、7億ドル(売上額の35%)の利益を上げている」と試算している。



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