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インフラ・輸送に関する解説集

1.ブレヤ下流水力発電所とゼヤ下流発電所の建設に2007-8年に着工

アムール州のブレヤ河とゼヤ河では、それぞれの下流にニジネブレイスカヤ水力発電所およびニジネゼイスカヤ水力発電所群が建設される計画が進められている。ボストク・メディア通信によると、建設が始まるのは2007年と2008年になる見通し。新たに建設される下流発電所は、既存のブレヤ水力発電所およびゼヤ水力発電所と比べると、はるかに小規模であるが(100−320MW)、既存発電所の「水流調整弁」の機能を果たし、これによって2つの既存発電所は正常な運転条件を確保することが可能となるという。3つの発電所の送電開始は2010年を予定している。

2.イルクーツク空港に移転計画が浮上

イルクーツク州のアレクサンドル・チシャニン知事は、7月9日に発生した着陸事故を受け、早ければ2008年にも新空港の建設に着手することを明らかにした。REGNUM通信によると、11日の事故調査委員会で明らかにしたもので新空港はイルクーツクとアンガルスクの間に建設される見通し。連邦政府が滑走路の建設費などを負担し、地方政府は空港ターミナルやこのほかに必要なインフラ整備費を拠出する。この問題は今後ロシア下院で審議されることになる。また、事故が起きたイルクーツク空港でも、既存の滑走路を現在の3165mから430m延長する工事が年内に実施される。イルクーツク空港では事故が多発しており、安全性を高める措置が急務となっている。

3.中央アジア向け自動車輸送の需要

日本からロシア極東経由で、かなりの数の中古車が中央アジアのカザフスタンへ輸出されているが、その大部分をロシアに輸入するのは不向きな経年7年以上の古い車が占めている。仕向地として最も多いのはカザフスタン。人口は約1500万人、自動車登録台数は150万台程度だが、日本などからの輸入増に伴い、年10%〜14%で増え続けている。特に、ロシアが経年7年以上の禁止関税を導入してから急増した。日本の輸出統計では、2005年のカザフスタンへの中古車の輸出台数は1万6738台、今年3月末までで5276台が輸出されており、今後も増えそうな勢いである。同国にただ1つあるチェコのシュコダの自動車工場では、2005年にわずか500台が生産されただけである。ただし、このカザフスタンでも旧式車の関税引き上げや右ハンドル車の輸入規制など検討されていると言われる。

4.綏芬河-ポグラニチヌイ国境地帯通商貿易・経済協力区(PTEK)建設プロジェクト」

「綏芬河-ポグラニチヌイ国境地帯通商貿易・経済協力区(PTEK)建設プロジェクト」は、1998-1999年に調印された中ロ政府間協定の枠内で実行に移された。これらの協定は、沿海地方、チタ州およびアムール州の3ヶ所に国境商業コンプレクスを設置し、そこへの中ロ両国市民の往来手続きの簡素化を定めている。このプロジェクトが広く公にされたのは、2002年にウラジオストクで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)フォーラムの折であった。沿海地方行政府と黒龍江省政府は、国境地帯協力の新政策の“ならし運転”用のパイロット・プランとして、このプロジェクトの推進を提唱したのである。

実際に、PTEK計画が動き始めたのは、2005年9月である。しかし、これは、沿海地方から委託を受けプロジェクト全体の計画と実行を総括する「ZAO(閉鎖型株式会社)調査分析会社“プリモリエ(沿海地方)”」社と、このカウンター・パートナーである中国の有力企業「上海・世茂(シマオ)」にとってみれば、予定より大きく遅れていた。その一因となったのは、ロシア側での法整備の問題である。ロシアには国境地帯における経済協力プロジェクトを規制する法律が制定されていないことである。必要な法律を立案し、採択するには時間がかかるが、現時点でもなお法制度は未整備のままである。

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